揺れない家を目指す3つの手法と地震の揺れで倒れる家のシュミュレーション

jishin_house.jpgどんなに耐震性に気を配ったとしても、どんな大地震がどこにくるのか予測できないのでは、家が地震に耐えるのにも限界があります。

だからと言ってシェルターのような建物では、日々の暮らしは不便です。

では地震が来ても、壊れない家を作るにはどうすればよいのでしょう。 平常時、快適に暮らせる家で、いざというとき揺れにくくする方法をご紹介します。

■ 法律で大地震2度目は考えてない

現在の建築基準法では「即座に倒壊しないことを目標」にしているので、2回目の大地震は想定していません。興味深いシュミュレーションがありましたので転載します。

先の地震では、2度大きな揺れを経験しました。大きく傷ついた家は、2回目は耐えられませんでした。シュミュレーションの33秒ごろが2回目の地震です。1回目の地震ですでに、ダメージを受けている様子がよくわかります。

 「前震では1階のリビングと寝室のクロスにひび割れが入っただけで、サイディングは何ともなかった。15日は知り合いの家で過ごし、16日の本震後に戻ると、倒壊していた」
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これは、2010年に完成した熊本県益城町に建つ住宅Aの居住者に聞いた、前震と本震後の様子だ。震度7を記録した熊本地震の本震で倒壊した。
~中略~  
住宅Aの倒壊過程を明らかした動画はこちらだ。33秒ぐらいから本震による大きな動きがみられる。
出典:日経ホームビルダーhttp://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/041500569/061000070/

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(凡例)日経ホームビルダーより加筆

■ 2度目でも大地震から家を守る3つの方法<建て替えの場合>

何度かの大地震から守ろうと思うと、家が地震に耐える(耐震)という考え方ではなく『地震力をなるべく受けない』という考え方をします。

ドラえ●んの道具で浮いていればいいのですが、そうもいかないので なるべく揺れないように ポケットから出した 装置を使います。

方法は大きく3つ。プラスα費用がかかりますが、必要性や有効性を感じている方も多いようです。

▼ 地震の揺れを軽くし、家に伝えない方法【免振】

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免震は地震力をなるべく受けない(免れる)ようにします。
建物と地面の間に装置をいれて、地面と家を離すことで、地震の揺れを弱めます。

「積層ゴム」や「建物を滑らせて揺れを軽減する方法」「球状の材料を転がせて建物を守る方法」などがあります。
弱い地盤には適応できなかったり、振り子のように揺れて吸収させるので、周りにある程度の空きが必要です。

また地下室やビルトインガレージはつけられません。地震に対する効果は高い分、費用は制震に比べるとやはりまだ高価です。

出典:http://www.menshin.biz/?q=node/3403

▼ 揺れるのをちょっと軽くする方法【制振】

seisin.jpg 地震の力を吸収し、揺れを軽くします。
免震の方が効果は大きいのですが、制振は、建物の中に装置を付けるため、地盤やプランに制約が少ないのがメリットです。

壁の中に付けた、いくつかの装置が 建物の変形や損傷を軽くしてくれます。壁の中なので工事が完了すると見えなくなりますが、地震だけでなく台風の際にも効果を発揮します。

出典:https://www.sumitomoriko.co.jp/trc-damper-wh/spec/index.html

▼ 地震の際、空中に浮かせて揺れを断つ【断振】

浮かせて「揺れを伝えない」という考え方の工法。空気の力で数センチ浮かせて、揺れを抑えます。

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設定しておいた揺れを感じると、センサーが反応し、エアタンクから、建物と地面の間に空気を送り家を浮かせます。

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震度7の揺れを1/30に軽減されるといいます。

斬新なアイデアですが、国土交通大臣の認定はもらえてないようです。
出典:http://shuu-wa.com/wp-content/uploads/2013/05/what1.gif

■ 今ある家を揺れにくくする2つの方法<リフォームの場合>

リフォームで、揺れを抑えたいと思ったときは、まずは、建物自体を調べる必要があります。まずは、基本となる耐震強度がなければ、装置を付けてもムダになってしまいます。

▼ 実は、木造一般住宅リフォームでの「免震」はあまりしない

免震は、地盤はもとより、基礎や設計段階から考えなくてはいけません。ですから、一般住宅リフォームでの免震は、「どれだけお金をかけても守りたい」という建物でない限り、コスト面から見てあまり得策ではありません。

▼ リフォームで「制震」強すぎても弱くてもダメ 壁をバランスよく強くする 

リフォームでの制震は、まずは、その建物の耐震診断をし計算に基づいて壁面を増やします。そして、壁の中に制震部材を適正に入れる事が大事です。キチンとしたバランス計算が必要なので、施工者の技術力も求められます。

■ まとめ

免震や制震は、立派な技術です。しかし費用がネックとなりまだまだ一般家庭では普及が少ないのが現実です。

念のためお伝えしておくと、現在建てる家の耐震性は「大規模地震で即座に倒壊しない」ことを目標にしています。考え方、費用とのバランスに応じて選択するようにしてください。