土地探し「地震が心配なら」知っておいて損はない!活断層5つの特徴
熊本県で発生した地震により被災された皆さまへ、心よりお見舞いを申し上げます。被災地の一日も早い復旧、復興をお祈り申し上げます。 ******************************************************
熊本の地震では、2000年以降の建物でも全壊判定など被害が多く。ニュースに取り上げられました。
複数の大規模地震があった影響も考えられますが、活断層上付近に多く被害があったとされています。
そこで活断層について調べてまとめてみました。家を建てる土地選びの参考にしてみてください。
■熊本地震では2000年以降の耐震基準が厳しくなった建物でも全壊
5月10日の朝日新聞記事に、益城町で最も被害が出た役場周辺を調査した結果が掲載されています。
2641棟を調査し耐震性能が劣る古い建物だけでなく、比較的新しい建物にも大きな被害が出ていたことがわかりました。
“阪神大震災を受け建築基準法が厳しくなった00年以降に建てられたと見られる木造家屋51棟が大きく傾いたり倒壊したりして全壊していた。51棟は古い建物も含め被害が多い、町役場南側の県道と秋津川の間に集中していた。調査した東京大の青木謙治講師(木質構造学)は「00年以降の木造が地震でこれだけ壊れたのは初めてなので驚いている」と話す。”出典:朝日新聞http://www.asahi.com/articles/ASJ594CBBJ59PLBJ001.html/2016年5月10日~2016/5/16追記~“「全壊が51棟」という数字は、再調査が必要な建物をピックアップした数字であり、現在も再調査や詳細な確認作業を実施している。発表会までに確認できた棟数として、少なくとも10棟、最多で17棟になる可能性があるとした。最多には現在確認中の数が含まれている。” 出典:日経ホームビルダーhttp://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/041500569/051400061/2016年5月14日
■比較的バランスの良い、新しい住宅でも倒壊
別のニュースサイトでは、写真つきで紹介されていました。わかりやすく比較されています。「県道28号線の南側」「2001年以降の建物と推測」とありますので上記調査に当てはまるものだと思われます。
“新しい建物も壊れていた
写真は、県道28号線の南側の住宅街で見つけた1階が落階した新しい住宅です。地震前の写真も一緒に示してみました。住宅の建材の製作日から2001年以降に作られた建物だと推察されます。最新の建築基準で設計された構造的にもバランスの取れた住宅で、柱梁接合部の金物補強もきちんとされていました。他にも新しい住宅の被害が散見されました。断層直近の強い揺れや地盤の変状を経験したとは言え、比較的バランスの良い新しい住宅まで倒壊したことは、土地利用の問題と合わせて耐震化のあり方に一石が投じられたと感じています。”出典:【熊本地震】震度7の揺れに2度見舞われた益城町を歩く 福和伸夫 | 名古屋大学減災連携研究センター、センター長・教授 2016年5月9日 http://bylines.news.yahoo.co.jp/fukuwanobuo/20160509-00057465/
▼被害の大きかった付近の活断層を見てみる
こちらのサイトで熊本地震で被害の大きかった1つ、益城町をアップしてみると活断層が見えてきます。
▼熊本地震の被害が大きかった所とあわせてみる
冒頭の朝日新聞の記事で、2000年以降の建物で全壊と判定された建物が集中した地域と、あわせてみると活断層の上とその付近にあることがわかります。
出典:http://www.asahi.com/articles/ASJ594CBBJ59PLBJ001.html
▼断層沿いに住宅被害7万棟超(熊本地震)~追記2016/05/24~
出典:日経ホームビルダー2016/5/22:
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldhbd/15/1606/012600006/
■そもそも断層と活断層ってなに
▼断層とは地面を掘り下げた所にある硬い岩の層
“私たちが住んでいる街の地面を掘り下げていくと最後は固い岩の層にぶつかりますが、この岩の中にはたくさんの割れ目があります。通常、この割れ目はお互いしっかりかみ合っていますが、ここに「大きな力」が加えられると、割れ目が再び壊れてずれます。この壊れてずれる現象を「断層」活動といい、そのずれた衝撃が震動として地面に伝わったものが地震です。また地下深部で地震を発生させた断層を「震源断層」、地震時に断層のずれが地表まで到達して地表にずれが生じたものを「地表地震断層」と呼んでいます(図-2)。”出典:国土地理院
▼活断層は字のごとく『活動する可能性のある断層』
“「断層」のうち、特に数十万年前以降に繰り返し活動し、将来も活動すると考えられる断層のことを「活断層」と呼んでいます(第四紀(260万年前以後)中に活動した証拠のある断層すべてを「活断層」と呼ぶこともあります)”出典:国土地理院
■知っておいて損はない!活断層5つの特徴
▼一定の時間をおいて、繰り返して活動する
活断層は普段はじっとしていますが、両側の岩盤には常に大きな力がかかっています。このひずみが限界に来た時、岩盤が壊れ、互いに反対方向にずれ動きます。この動きが地震を発生させ、ひずみは解消されます。
そしてその後、次にひずみの限界が来るまでじっとしています。
▼いつも同じ向きにずれる
活断層にかかる力の元はプレート運動で、向きや速さは長期的には変化しないので、活断層にかかる力も変わりません。ですから、活断層の活動は基本的には同じ動きが繰り返されます。
活断層周辺は、このように繰り返された動きで形成されたものなので、地形を見ると活断層の特徴がわかります。
▼ずれの速さは断層ごとに大きく異なる
活断層が1回のズレが数mでも、それが繰り返されるとずれの量は増えます。
この増加していく速さは断層ごとに大きな差があります。
「平均変位速度」は、長期的に見た場合の活断層の平均的なずれ量を速度で示したもので、通常は1000年あたりのズレの量で表します。これで、その活断層の活動度が分かります。
▼活動間隔は極めて長い
日本は、しばしば直下型の大地震が発生するので、活断層が頻繁に動いているように感じますが、それは、日本に活断層の数が多いからで、実は1つの活断層による大地震発生間隔は1000年から数万年と非常に長いのです。
しかし、海溝型地震の発生間隔はこれよりずっと短く、例えば南海トラフを震源とする地震の発生間隔は100年程度で巨大地震(南海地震、東南海地震)を何回も発生させてきています。
▼長い断層ほど大地震を起こす
断層が長いほど、大きな地震を起こす可能性があります。
これまでの日本の内陸直下地震の例では、M7級の地震では長さ20㎞程度、M8級の地震では長さ80㎞程度の範囲にわたって地表のずれ(地表地震断層)が現れている例があります。
出典:国土地理院
■あなたの住まい付近の活断層がどこにあるのか簡単に知る方法
活断層の位置は、こちらのサイトで公開されています。地質図NAVIあなたの住まいの近くに、どんな活断層があるのか調べてみてはいかがでしょう。
■活断層上の建物を制限している所もある
▼カリフォルニア州では活断層上に建築してはいけない
カリフォルニア州では、1971年ロサンゼルス近郊で起きたサンフェルナンド地震をきっかけに、活断層上の開発を規制する法律が制定されています。
それによって居住する建造物を活断層上に建てることが、基本禁止されるようになりました。
出典:http://peer.berkeley.edu/events/2009/sfdc_workshop/Bryant_AP_PEER-2.pdf
▼日本でも自治体によって「大規模な建築」は制限されている所がある
・徳島県:讃岐山脈南縁で、活断層の調査が必要な区域で「多数の人が利用する建築物」などの新築は、県に届け出なければならない。
・福岡市:けご断層帯の南東部付近で、これから新しく建築する「中高層建築物」の耐震性能を強化
・神奈川県横須賀市 :「大規模な開発」を行う際、活断層上への建築を制限
・兵庫県西宮市 :「中高層建築物」において活断層線が影響すると市長が認める時 地質調査報告書を添えなければならない。
参考:日経ホームビルダーhttp://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/041500569/050200053/?P=2
日本では、現在のところ一般の木造住宅を、活断層上や付近に建築する規制はないようです。
■日本で活断層上に建物を建てる事を禁止出来ないと思われる理由
▼知られていない活断層もあるから
表面に現れていない活断層もあり、しかもまだ見つかっていない活断層もあります。
“現在、日本では2千以上もの「活断層」が見つかっていますが、地下に隠れていて地表に現れていない「活断層」もたくさんあります。”出典:国土地理院
▼国土が広くない
日本全国に活断層が広がっています。国土がそれほど広大でない日本では、土地財産という観点からも制限するのは難しいと思われます。
■まとめ
専門家によりますと、熊本の地震での益城町役場周辺の大きな被害については、活断層だけでなく地盤の弱さも指摘されています。
家を建てる土地選び、地震をむやみに恐れるだけでなく、まずは知ることから始めてみてはいかがでしょう。