リフォーム価格の相場を公的機関に「無料」で判断してもらう方法
リフォームで、手抜き工事をされるのは一番困ります。しかし業者を決める段階では、きちんとした見積もりを出してくれたのか。というのが、心配ごとの一つではないでしょうか?
「きちんとした見積もり書」を出してくれるところは、「きちんとした仕事」をしてくれる。そう信じたいものです。
でもどうしても心配な時 無料でリフォーム価格の相場を知る事ができる、こんな公的サービスがあります。
認知度19.3%と低めですが、相談は増加しているようです。
■ リフォーム価格の相場の範囲が広すぎる 自分の見積もりがどうなのか知りたい
「リフォーム価格の相場」を掲載しているサイトで分かるだろうと検索してみます。確かに、工事内容によって●●万円~●●万円と記載されています。
自分の見積もり金額は、確かにその幅の中に入ってはいます。しかし、工事が大きくなればなるほど相場価格の幅が広くなり本当に正しいのか分からなくなります。
しかもまったく同じ条件ではないため、自分のリフォーム見積もりが相場に合っているのか?それだけが知りたくなります。
■ リフォーム価格の相場を知りたい こんな時、あんな時
『見積もり無料!』実際に見積もりをもらっても、これが適正なのかわからない。
2.3社の工務店や建築会社で相見積をとっても、まったく同じ項目じゃないから、妥当な金額なのかわからない。
見積もりを見て、客観的に判断してくれる知り合いがいない。
知り合いにお願いするつもり、長年の付き合いのある工務店だから信用してないわけじゃないけど、見積もりが価格が適正か知りたい。
■ 見積もり診断を行う機関とその特徴
見積もりを見てアドバイスしてくれるサービスは、国土交通省の所管する
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住まいるダイヤル」が行っています。
▼ 住まいるダイヤルはリフォーム相談機関
リフォームに関する相談に乗ってくれる機関なのですが
実際の見積もりを送って、チェックするサービスも無料で行っています。 (2014/01/23現在)
▼ 見積もりチェックしてもらう手順
【手順】
①まず、住まいるダイヤルに電話をして相談。不安点など話を聞いてもらう。
②希望者は、見積書、図面をファックスもしくは郵送する
③建築士が項目を見て、市場価格等を考慮してチェックしてくれる
④ポイントを助言してくれる
▼ すまいるダイヤル 主な4つのチェック項目と具体的手順
見積もりに
・不要な工事項目がないか?
・逆に、必要なのに抜けている工事項目はないか?
・あなたが希望していないのに、高いグレードの製品が使われてないか?
・相場価格と大きくかけ離れていないか?
をチェックしています。
【具体的な手順】
1.図面と見積書を照合
2.見積項目や数量の確認
3.見積書の単価と市場価格等との照合
4.技術的観点からのチェック
5.契約書の記載内容など
▼ 相談者の9割が金額についての相談
大々的に宣伝していないので、見積もりチェックサービスの認知度は※19.3%と低めです。 (※H23/8/23消費者委員会データより)
しかし、利用者は年々増えてきているそう。
2012年度の公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターの電話相談、新規の電話件数は、前年度に比べて0.5%増え、そのうち、リフォーム関連の相談は8%増えたといいます。
リフォーム見積チェックサービスは、1年間で535件(同33%増)と大幅に増え、中でも、相談者の約9割が、単価や合計金額が適正かどうかについての相談だということ。
▼ 工事箇所別、リフォーム価格の相場を見積書から知る方法
『そんな事をするのも面倒。』という方は モデル住宅を例にした、見積もり事例を公開しています。参考にしてみてはいかがでしょう?
▼ 弁護士とも連携している
内容によっては、弁護士とも連携した専門家相談を行っている。
住まいるダイヤル専門家相談
■見積書はこうして作られる~ 作る側が伝えるリフォーム見積書作成の裏側~
▼大規模なリフォームを丁寧に見積もりするとベテランでも2週間かかる
リフォームの見積もりと言うのは大変手間がかかります。規模が大きくなればなるほど拾い出す作業に時間がかかります。弊社の場合で、大規模リフォームをきっちり見積もると2週間くらいになります。なぜそんなにかかるのか?作成手順を知ると理由が分かります。
■時間がかかる理由はリフォーム見積もり書の作成手順にある
弊社の場合の手順になりますが、例としてご紹介します。簡単にできる見積もりシステムを使っている所もありますが、実施の際、間違いや誤差が少ないのでこの見積もり方法をとっています。
▼1.要望を聞く
もちろん、お客さんの要望が大事なのでヒアリングします。要望によって提案する材料や方法が異なります。工務店によっても提案内容が違うので、同じ要望でも見積もりが違うのはそのためです。
▼2.現況を採寸
現在の家を採寸をします。(きちんとした図面が手に入った場合でも)もし、図面通りであれば確認だけで済みますが、規模が大きく図面と違う、図面が無いという場合は大変時間のかかる作業になります。しかし、この採寸をきちんとしておかないと リフォーム図面が書けません。
以前、設計士さんが新たに書いた図面を信用していたら、窓が左右逆に書いてあったり、寸法が違っていたりしたことがあります。実際に現況を見ることが大切になります。
▼3.図面を書く
リフォームの図面を描きます。手間はかかりますが、詳細に書くと拾い出すのに役立ちます。
▼4.必要な材料を拾い出す
例えば「公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター」の見積もり例を見ても、床工事の項目だけでも畳撤去、床組撤去・・・など9項目に分けられています。
このように、1部屋ずつ 必要な材料ごとに平米数や数量を拾い出します。
▼5.協力業者に見積もり依頼
拾い出した材料をもとに、大工、解体業者、設備屋、電気屋など 関係する業者さんにそれぞれ見積もり依頼を出します。
▼6.見積もり合わせをします
各業者さんの見積もりがそろったら、その数量を見直します。材料が多すぎないか? 高すぎないか?本当にその材料で長く持つのか? 見た目は悪くないか? 予算と希望に近いか?を図面と照らし合わせて再検討します。各業者と何度かやり取りしながら、数量と金額を詰めていきます。
▼7.見積もり書の完成
6.で出た見積もりに施工費、設計費、現場管理費、経費を足して見積もりの完成です。弊社の場合、項目が細かいので大規模リフォームだと何十ページにもなります。
上記は一例です。きちんと詳細な図面がある、小規模なリフォーム、お客さんが簡易見積もりを希望された場合は、この限りではありません。
■リフォーム見積もりは、品番の同じ家電のように比べられない
▼リフォームはブラックボックス解体してみないと予測不可能
しかも、一部の解体はすべて壊すのとは違い、解体業者の手間賃が増えます。また、壁や床を開けると木が腐っていた。などの事態が起こると、数百万円単位で見積もり金額が変わったりするのです。
あらかじめ、想定しておけば良いと思うかもしれませんが、すべての想定される状況を考えて金額を入れてしまうと、とんでもない見積書になってしまいます。
▼法的に統一された見積書があるわけではない。各社バラバラなので判断が難しい
元々会社ごとで提案や施工方法が違うこともありますし、見積もり項目の名称も違います。いろんな会社の見積もりを比べて判断しようとすると混乱するかもしれません。
▼最初に概算を出して、必要なら詳細見積もりを出す工務店もある
上記のように、1つ1つ拾い出す方法は大変手間がかかります。しかも、お客さんが必ずしも発注してくれるとは限りません。中には長年の経験からおよその坪単価が分かっているので、概算で提出し、依頼があれば詳細を出すというところもあるようです。
弊社でも、お客さんの要望によっては、概算見積もりで伝えることもあります。
ちなみにハウスメーカーでは、システム化されているので見積もり方法は大きく異なります。
■ まとめ
見積もりチェックシステムは年々利用者が増えているという事ですが、消費者のリフォームに対する「不安だ」「騙されたくない」「信頼できる人に背中を押してほしい」という 思いの証かもしれません。
ただ、公益法人とはいえ担当した職員さん(建築士)の知識や経験の個人差もあります。それを理解して、第三者の意見を聞きたい時に利用されてはいかがでしょう。
リフォームは商品を買うだけではありません。技術や人柄も合わせ、総合的に判断して下さい。
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